咎もなく誉もない日々

そうでない人がそれなりにやっていくブログ

2023年に読んで印象に残った本

子供のころ読んだ松谷みよ子のモモちゃんシリーズの5作目以降を読んでなかったのでふと気になって全6作を読みかえした。
このバージョンは5作目と6作目が一冊になってる。

モモちゃん姉妹は作者の子どもがモデルで、作中でパパとママは離婚して別に暮らすことになるのだけれど、そのあたりの経緯について描かれた私小説「捨てていく話」と自伝の「じょうちゃん」をあわせて読んだ。

これらを合わせて読むことで一組の夫婦とその子どもの物語が浮かび上がってくる。

子供のころピアノを習った最初のころ、単音で弾いた練習曲に先生が伴奏をつけると全然違う音楽になってびっくりしたけど、ああいう感じ。同じテーマについて違う視点の本を読むのは好きだけど、同じ作者がそれぞれ違うアプローチで書いているというのは珍しいと思う。一貫して平易で完結で読みやすい文体。子供のころモモちゃんシリーズ読んだ時に感じた根底のかすかな不穏さに、私小説+自伝で伴奏がついて別の曲として浮かび上がってくるような読書体験だった。