ここからは非常に過酷すぎて、写真を撮る余裕がなにもなかった。
前記事で書いた通り、道の駅多々羅しまなみ公園で食事を済ませた。
しかし、鯛めしである。
鯛のお刺身が乗ったご飯におだしかけて食べるタイプを想定してたら、炊き込みご飯だったのがショックだったんだよな。
ともあれ疲れも回復したしお腹もいっぱいになったので、気を取り直して大山祇神社に向かうことにする。
今回、大山祇神社を目指す背景として、私は明石の大蔵谷らへん出身で稲爪神社の氏子だというのがある。子どものころは何の神様を祀ってる神社かあんまり認識してなかったんだけど、大三島の大山祇命が主祭神らしい。海のそばなので海の神様かと思ったら山の神様だった。で、一度大三島に行って参拝したいなと思ってた。おりしも、出かける前日にこんなtweetがバズったりしており、気分的にむちゃくちゃ機運が高まっていたのだ。
おはよう。今朝のTIPS。
— エリザ (@elizabeth_munh) 2022年8月4日
重要文化財だとか、国宝とか言うものは大体都会に集中しがちなもの。しかし、瀬戸内海に浮かぶ愛媛県の少し大きな島である大三島には、実に日本国から重文・国宝認定を受けた武器・防具のうち、実に8割もの数が集中している。 pic.twitter.com/1O1ZMH1oab
多々羅しまなみ公園から神社まではだいたい7kmぐらい。そんなに遠くない。ゆるっと走ればつくだろうと思って出発した。
最初は海のそばの道を走るが、ナビに添って走っていくとどんどん狭い路地に入っていく。昔ながらの家の軒下を抜けながら走る。風情はあるけれどそれを楽しむ気分的な余裕はなくひたすら暑い。
そのうち、再び幹線道路に出た。そしたら神社まであと4kmってとこから上りの勾配が始まった。道のどこにも日陰がない。
今回の旅の中では、ここが一番過酷だった。
勾配自体がとてもきついわけではないけれども、ひたすら逃げ場なく暑く、上り坂の終わりがまったく見えない。何度も道端に座りこんで休みながらゆっくり登り、ようやく勾配の終わりが見え、神社まであと1kmとなった。
ついに、しまなみの駅 御島にたどりついた。
www.mishima-eki.jp
ここのサイクルターミナルで自転車を乗り捨てれば、デスロードから開放されるのだ…… ついに………
しかし、受付の人に「自転車返却しますー」って言うと「あ、これはここのターミナルじゃなくて、多々羅大橋沿いの道の駅じゃないと返却できないんですよー」とのこと。
しばらく事態が飲み込めなかった。
瀬戸田の観光案内所で借りた自転車は、しまなみジャパンのレンタサイクルで、御島のレンタサイクルとは運営母体が違うらしい。
shimanami-cycle.or.jp
確かにターミナルの地図をよく見たら、御島ではなく多々羅のほうがターミナルということになってる。
何のことはない、最適解は「WAKKAでご飯を食べて休憩→ 多々羅に自転車を返す→バスで神社に向かう」だったのだ。あの山を越えたのは完全に無駄足ということでくずおれる。
すでに、体力的に限界なのと何も考えられないので道の駅で休憩することにした。ここの道の駅は冷房が効いたところに普通に座れて基本的人権が保証されていた。多々羅しまなみ公園がつらすぎたので涙がでるほどありがたい。
しばらく呆然とした後、落ち着くために隣の神社に参拝しにいく。神社に参拝しにいくにあたり、重い荷物をコインロッカーにいれようとしたらコインロッカーが壊れるというハプニングもあったし、なんか本当にうまくいかない。体力も気力も完全に限界だったので。かろうじて参拝だけして、資料館は断念した。神社はすっきり清浄で参拝客も多すぎず良い気だったのでちょっと回復したが、おみくじは末吉。さもありなんという感じである。
道の駅に戻り、しまなみジャパンに連絡を入れて事情を説明したら、御島に引き取りに来てもらえることになった。迷惑をかけることになりとても申し訳ないが、レンタサイクルを借りるとき、レンタル料金のほかに保証金を払っている。この保証金ってこういうときのためにあるんだなあとつくづくと実感した。
体力も気力もゼロになるレベルで本気で疲れたので旅程を早めることにした。もともとは市営渡船で今治まで渡るつもりだったけど、直行バスがもうすぐくる。バスに乗れば座ってるだけで今治までつくのだし、迷わず乗ることにした。
バス停には「おんまく開催のため今治駅周辺のルートが変更になっている」旨の張り紙があり、そこではじめて今治でお祭りがあることを知る。
www.onmaku.jp
予約してたホテルは港の近くだし、確かハーバービューの部屋を確保してあったから花火見えるかもってワクワクしてきた。
バスはバスですごくよくて、船からは海と島の美しい風景を満喫できるけど、バスで走ると島の生活を垣間見ることができる。伯方島→大島と今回立ち寄る予定のなかった島を経由して今治まで行けたのは、それはそれで楽しかった。
今治駅に付き、ホテルに向かおうと港行きのバスに乗ったところで、楽天トラベルのアプリで予約を確認したらなぜか予約がない。よく見たら、前日付で予約をしていたということにそこで気が付いた。ありえないミスすぎる。
慌てて他のホテルを探す。検索して出てきた1軒は駅から相当離れているし、もう1軒はお手頃だったけど男性専用のカプセルだった。かろうじて1軒だけ空き部屋があり、選択の余地がないのでその宿を確保。そのタイミングでちょうどバスが宿もよりのバス停だったので降りてすぐチェックインした。全部失敗してるのに、ここだけ神がかっている。
www.imabari-kokusai-hotel.co.jp
たしか1泊12000円ぐらいで、予約するときには「祭だし当日だし割高なのは仕方ないな」と思ったけど、思った以上に立派なホテルでちょっとびっくりしたし、部屋もむちゃくちゃ広かった。
とにかく汗だくでボロボロなのでぬるいお湯を貼ってお風呂に浸かる。そして昨日予約をミスった宿に電話をして謝罪する。祭りの前日の休前日にノーショウとか絶対迷惑だよな…。つらい。
しばらく休憩するとなんとか落ち着いたので、気を取り直して、祭りを見がてらちょっと飲むかとでかけた。
まず、宿から一番近い居酒屋で評価良さげな店があったので、覗いてみたら、なんか招かれざる客が来た!みたいな顔をされる。「今日、おやすみですか?」って聞いたら「このご時世なので、知ってるお客さん以外お断りしてるんです」だって。「ごめんなさい、また来てくださいねー」とか言われたけど、もう一生絶対に行かないと思うし、なんか店主がカウンターで客と雑に話してたから、あの感じだったら知ってる客同士でいずれ普通に感染りそうだなと思う。
とにかく冷えたビールが飲みたいし泣きそうな気持ちになりながら、よさそうな飲み屋を探すもイマイチピンと来ない。昼間の自転車の影響で足には靴ずれができており、歩き回るのがとてもつらい。商店街の近くまできて、ようやく、今治名物の焼き鳥を出すという店を発見した。評価もそこそこ良いし、店内も活気があってよさそう。
しかし、ビールを一口飲んで「なんか、これは違うような気がする…」という予感があった。
その時には疲れすぎてるのかなと思ったけど、明らかに洗浄不足?コンディションがいまいちすぎる。こんなに疲れてるのにビールがまずいとかある??
そして、その店イチオシという焼き鳥の皮(3種のタレつき)と、お刺身の盛り合わせを頼む。
来島海峡に面している立地だからそれなりに期待した刺し身は水っぽくてぐんにゃりしているし、焼き鳥は鉄板でパリッと焼くスタイルが今治流らしいが、なんか脂が強くてこれもぐにゃっとしている。タレはスイートチリとポン酢と醤油ベースの出来合い風で、どう考えても「サラダチキン作るときに余った皮をはいで雑に焼いたやつ」を家で食べてるようなクオリティである。
もうこういう日は何をやってもダメなのではないかと諦めて早々に店を出た。
店より街より、とにかく自分のコンディションが悪いんだ…きっと…。
祭りも覗いてみたが、心躍る要素がない。屋台でタップ出してるブリュワリーがあったのでレモンのエールでも一杯飲むかと思ったら、店員の男子はおきれいなお姉ちゃんに記念撮影をせがんでる真っ最中でスルーされたし、仕事してほしい。この街は私においしいお酒を飲ませる気がないんだ。タオルでも吸いながら寝ろってことか。
しょんぼりホテルに帰って10時前に眠りについた。ホテルの部屋が広くて快適だったのが本当によかった。もし、この部屋がなくてマンガ喫茶に泊まる羽目になってたら…と思うと、まだ最後の救いはあったと思う。まさに、末吉。