咎もなく誉もない日々

そうでない人がそれなりにやっていくブログ

サイコロきっぷでいく瀬戸内アイランドホッピングの思い出 2

初日。

切符のスタートは新大阪だけど、家は京都だし、京都駅まではバス、さらに京都大阪間も早朝は新快速が走ってないから、逆算すると朝6時前ぐらいに出発することになった。
今回、行程の一部が自転車だからキャリーバッグが使えず、2泊3日分の荷物をでかいリュックに詰め込んで背負っていて重い。正直、出発時点で結構疲れている。
そして新大阪でえっちらおっちらと新幹線「さくら」に乗り込むも車内販売はなし、車内の自販機も1つしか稼働しておらず、慌ててホームの自販機でコーヒーを買って出発した。車内ではずっと駅メモやってた。新幹線はチェックインしてもチェックインしても駅が発生するのであっという間にレベルが上がりまくる。しかし、駅メモと旅の兼ね合いは難しい。遠出は育成チャンスだけど、車窓風景よりでんこの顔ばっかり見てるのは本末転倒という気もする。
途中、福山で在来線に乗り換えて尾道についた。

尾道からは船で生口島に渡る。御船印というのがあり、尾道から出てる瀬戸内クルージングの船は対応しているから、それもチェックせねばならない。

桟橋にいるスタッフに「御船印買えますか?」と聞いたら乗船して船内で、とのこと。しかし乗船しても売店的なものはなく、誰に頼めばいいのかわからないまま席に座る。船はベタ凪の狭い海峡をけっこうなスピードで航行する。

わりとすぐに因島を経て生口島、瀬戸田港についた。
御船印の買い方はわからないままだし、どうしようと思ってたら、他の乗船客が御船印のパンフレットに気が付き、操縦士さんに「これって売ってるんですか?」とか聞き出した。私もそれに便乗して買うことができた。助かった。なお御船印帳は売り切れてたから、次回、別の船に乗る機会で買うということになった。

事前に、生口島出身の友達にいくつか見どころを教えてもらっていたので、まずそのうちの一つである耕三寺に向かう。ここは、極彩色の大きいお寺で、ちょうど蓮祭りをやってた。しかし、とにかく暑い。港から寺までの道はいい感じに整備されていて、なんか今風のおしゃれ感とレトロっぽさが相まって楽しい。しかし暑さゆえに歩くだけでけっこう消耗する。

耕三寺はとても大きく、なんというかかなり異世界っぽい。そして、開祖が母親のために建立した寺ということもあり、母は尊いっていうメッセージ性が強い。私も母の端くれなのでたぶん尊いということにしておく。寺の裏手には「未来心の丘」というものがあり、エレベーターで登ってみたところ、白い彫刻が立ち並んだ不思議な感じの場所だった、何しろどこもかしこも白いもんだから太陽の照り返しでものすごく暑いし、さらに丘だから上り坂なのだ。

全貌を見る前に体力的に限界になったので、慌ててエレベーターで戻り、お土産の店でレモン塩ドリンクを買いしばし休憩。そしてこのお店、なにか不思議な感じがすると思ったら家で使っている松栄堂のお香が炊かれていた。旅先で家の匂いがしたらそりゃ不思議な気持ちになる。

寺を出た後、観光案内所に向かい、自転車を借りた。今回はそこそこの距離を走るし島も渡るので、クロスバイクにした。自分の体格に合うのがあったので助かった。乗ってみると、若干ブレーキが甘いような気がするし、ディレーラーの反応も微妙だけどレンタサイクルとしては許容範囲として出発。

西海岸沿いの景色がキレイときいていたので海岸にそってゆっくり走る。
サンセットビーチという海水浴場が見えてきた。とにかく暑いので、ここで一旦休憩する。


海を見ながらアイスコーヒーを飲んでると、バイクで島を一周しているというおっちゃんに話しかけられた。他にお客はおらず、適当に談笑した。ちょっと回復したから再度移動。

しばらく走ると、生口島と大三島をつなぐ多々羅大橋が見えてきた。

ところが、近づいてみると橋はけっこうな高さがある。下を船が通るのだから当然だけども、あの橋を渡るということは、あそこまで上り坂ということである。

ここで自分の見通しの甘さに気づいた。自分もわりと自転車には乗り慣れてるほうではあるし、山越えて琵琶湖とかにも行くわけだし、このルートは「海を見ながらゆるくポタリング」ぐらいの気持ちだったわけよ。だから装備は日除けパーカーにダブルガーゼのチュニックにのびのびズボンにスニーカーという農作業おばちゃんルックだし。荷物も重いし。

だけど、この季節、この気候でそれはあまりにも甘かったわね。海岸沿いの平坦な道はギリ耐えられたけど、橋に向かう上り坂は本当にきつかった。こうなってくると写真を撮ったりする気力はなく、とにかく早くこの地獄のデスロードを抜けてしまいたいという気持ちになる。

それでもなんとか橋までたどり着くと、広くて走りやすい自転車レーンがあるし、景色もいいし、しまなみ海道ってサイクリングの名所って言われるだけのことはあるなあと。しかし、その時の私に景色を楽しむ余裕なんてなくて、かなり限界来てたと思う。「一刻もはやく橋を渡りきって、道の駅の冷房効いたところで座って休むぞ… 」 その一心だった。

しかし、たどり着いた道の駅では、冷房が効いてて座れるスペースが食堂しかないという非情さ。要は、何かオーダーしないと座れないのだが、とにかく消耗しすぎていて、がっつり食べられる体力は何も残っていない。それなのに、アイスクリームとかかき氷といったメニューはなく、がっつりした定食しか選択肢がないのであった。

食券の行列に並ぶもメニューを見て「無理…」となり離脱。(これを3回ぐらいやった)
食堂わきのベンチに座り冷えたみかん塩ドリンクを飲む。生口島は広島でレモンの産地なのでレモン塩ドリンク、大三島は愛媛でみかんの産地なのでみかん塩ドリンクなのだな。かろうじて食堂の入り口から冷風が流れてくるので死なずに済んだ。過酷すぎる。知能が低下して「おさかなさんがおよいでるー」とかそういうことしか考えられない。

それでもしばらく休憩してるとそれなりに復活してきて、食堂でお昼食べることにした。
サンセットビーチでおっちゃんに自転車で大三島に行くなら良い店があると教えてもらってはいたのだけれど、暑い中、もう移動したくない。少しでも長く休憩を取りたい、そういう気持ちになってしまった。

しかし、それはわりと裏目に出た。鯛めしと天ざるそばのセットというものにしたのだけれど、なんか自分のよく行くスーパー銭湯の食堂と近い系統の味わいだった。まずいというわけではないが、旅先で貴重な一食として食べるべきメニューではなかった。判断力が死んでるのでそういうミスをする。

ちなみに、おっちゃんが教えてくれたおすすめスポットはこちら。
wakka.site
どう考えても、こっちのほうが良さそう。もうちょっと頑張るべきだったと今では思っている。

そして、この後もまだまだ地獄のデスロードが続くのだった。