飛行機乗るまで時間がある時に羽田空港の伊勢丹を覗くのが好き。ラグジュアリーなメンズものは物欲には直結しないので純粋に目の保養になるし、フレグランスが充実してるから。ここはある程度店員さんが放置してくれるので好きに試香できるのもよい。
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いろいろ試してみて、サンタ・マリア・ノヴェッラに好きな香りが多いのがわかった。あまりアーティスティックすぎないシンプルな香りが好きなのだと思う。で、気にいって買ったのがこれ。
www.santamarianovella.jpフィレンツェと京都の姉妹都市40周年を記念した香りらしく、フィレンツェのアイリスと京都のロータスをあわせた香りだそうな。なんか瓜臭く転ばないみずみずしさとお香みたいな粉っぽさが混ざって、たしかに京都ですねという感じ。トップノートにオレンジとかジャスミンとかあるけど、トーンの高さはあんまりなくて最初から匂い袋っぽい粉みがあり香り立ちが強すぎないので落ち着くし、持続性は低めだけどラストノートのアイリスはほのかに残る。
家に帰ってあらためてつけてみたら、前にフエギア1833で買ったElogio de la Sombra と系統は近い。そういえば、フエギアの店員さんもElogio de la Sombra は京都のポップアップイベントで人気があったって言ってた。こちらもアイリスが主役でお相手はマグノリア。フエギアのほうがアイリスが土っぽく生き生きした甘みがあり長く強く残る。フィレンツェのアイリスと南米のアイリス、蓮と木蓮の違いはあれどコンセプトが近い香りだと思う。叙景的というか。サンタ・マリア・ノヴェッラのほうは天龍寺みたいなきちんと整備された池と石庭のある大きいお寺で、フエギアのほうは雨宝院みたいな小さい庭に雑然と花が咲き乱れ秘仏がある感じのお寺だね。
ちなみに、資生堂の禅の一番最初のバージョン(黒い容器のやつ)もこういう系統だけど、禅はもっとダイナミックな香りの展開がある。フレッシュグリーン→フローラル→モッシーなパウダリー みたいな感じで、名もない山奥の廃寺に分け入っていくような神秘性があった。今はオーデコロンしか入手できないのは残念。子どものころ母親があのパルファムを持っててよそ行きの時につけてた記憶がある。
しかし、東京に行くたびにこういう香りを買ってしまうの、単におうちに帰りたいだけなのではないかと思う。ここ数年、東京(主に渋谷)に行くたびに街は大きくなりビルも高くなってて、一方、京都に帰ると都市機能は一通りあるのに建物が小さくておもちゃの箱庭みたいだよなって思う。だって、高さ制限があって10F建てまでしかビルが建てられないんだから、単純に考えて1/5スケールぐらいでしょ。
おもちゃの街の住人にとって人間の街は居心地があまりよくないのだ。人間のキレイなお姉さんはアリュールとかクロエの香りがする。あれほどトーキョーらしい香りはない。甘くて清潔でなにもかも人のチカラで実現できそうな香りだ。