咎もなく誉もない日々

そうでない人がそれなりにやっていくブログ

Deocoブームからのあれこれ

Deoco、発売されたときからわりと愛用してる。というのは、もちろん匂いの気になるターゲット年代女性であるからだし、それ以上に、試供品用に売られてるパウチの形状が旅行とか温泉行くときすごい使いやすいんだわ。ミニボトルと違って最後まで絞り出せるし、なくなったら気軽に捨てられる。旅先で動き回ると何かと匂いも気になるので対策がなされていると安心感もある。洗い上がりに微妙なミントっぽい清涼感あるのも好み。

【医薬部外品】ロート製薬 デオコ 薬用デオドラント ボディクレンズ 350mL

【医薬部外品】ロート製薬 デオコ 薬用デオドラント ボディクレンズ 350mL

あの香り、別に女臭いわけでもなく特別な要素はあんまりない、普通のフルーティフローラルだと思う。言ってみりゃ、最大公約数的なシャンプーフローラルじゃないですか?お風呂タイムの民家の前から漂う香りというか。日本において男女問わずみんな好きな香りって感じがするし、別におっさんが使ってて気持ち悪い香りでもない。そこまで主張が強いわけでもないから、匂いのイメージがおっさん化することもないと思う。金木犀の香り=トイレとか、ジバンシイアンサンセウルトラマリンの香り=ヤンキーとか、そういう不幸な事態にはならないんじゃないかな。

ロート製薬の人が「男性はデオウを使ってほしい」みたいなことを言ってたの読んだけど、デオウに限らず、既存の男性用ボディソープって、

  • 黒とか紺とかグレーとかの色調パッケージ
  • 強そうなネーミングとロゴ
  • シトラスとかハーバル系の伝統的男の匂い
  • ミントがきいてたりスクラブが入ってたりと刺激強めの使用感
  • いかにも汗の臭いがしそうな男が出てくるCM

という、いかにも「男ってこういうの好きでしょ」って舐めプ感がある。実際にはこういう「男らしさ」に満ち溢れた世界観が苦手な男性も多いんだけど。

あと「お前ら臭いぞ」って言われて製品使いたいかという問題もある。女向けのは「気になる匂いに」とか「匂いが気にならない」って表現にすることが多い。これは「あなたは臭くないけど、におい、気にしちゃいますよね、わかります」という心遣いが感じられる表現なんだけど、男向けって直球。
nlab.itmedia.co.jp
これとか、音楽もアニメも力作だけど、対象が女だったら炎上するやつじゃないかな…

かつては男の身だしなみは奥さんの責任領域とされていて、女が買う場合「旦那が臭いから臭くならないやつ買おっと」という単純な話で済んでたかも知れない。でも、今は独身の人も増えてるし、男が家事やってる家も多い。そこで「お前臭いからこれ使え」って言われて素直に使いたくなるだろうか。

ステレオタイプな女性らしさの押しつけに対して女性がブーイングするようになって久しいけど、男性も臭い前提でコンテンツ作られるのも嫌だろうし「男だからといってスポーツで汗流さないといけないみたいな風潮どうなんだ」「社畜前提のCMはやめてくれ」「マッチョな体を見せつけられるのは嫌だ」って思う人たちもいるはずなのだ。でも声は上がらない。我慢させられてないか心配。

今回の件で、若い女子をを性的対象にするようで気持ち悪いって怒ってる人もいるけど、そこはちょっと文脈違う感じする。むしろ「自分が女の子になりたい男」が相当数いるという肌感覚がある。性別に違和があるとかではなく、純粋に、まんがタイムきららのマンガにでてくるような穏やかで優しい世界でかわいいことだけをやりたい、かわいい友達と楽しく暮らしたい、そういうイメージ。
でも、それって全然自然な欲求だと思う。男だからといって、平和な時代に無理に冒険や勝利を求められてもしんどいだろうと思うし。タピオカだって飲みたいでしょ。

それなのに、男が男らしくないこと、女のものを手にとることに対する忌避感は未だものすごく強い。女の子がライダーや戦隊ものを好むのは「元気な女の子だよね」「趣味はいろいろだよね」で済むのに、男の子がプリキュアを好むと「性同一性障害でも幸せに生きられるよ!大丈夫だよ!」みたいな方向に行きがち。いや、そっちだって趣味はいろいろだよね、ぐらいでいいんじゃないのかしら。おじさんがプッチンプリン食べてもいいじゃないのさ。

さらに、かわいくなりたい男が美容や身だしなみに気を配れば配るほど、強そうなメンズアイテムを手に取らざるを得ないというパラドックスがある。女の場合、キラキラしたものに対する忌避感があっても、シンプルなユニセックスアイテムがちゃんと味方してくれる。ジルやアナスイがダメならTHREEだってシュウウエムラだってある。かわいいもかっこいいも強いも志向できるのが女だけど、男に「かわいい」が解放されてない。

香りの話に戻るけど、日本では紳士向けのラベンダーやフゼアみたいな系統は「おじさん臭い」と言われ、マダム向けのパウダリーやオリエナタルは「おばさん臭い」「仏壇臭い」と言われる。香りに造詣が深いわけではない一般市民がニュートラルに良い香りと感じるものを選ばせると、湯上がりの香りか、洗濯物の香りか、新鮮な果物の香りに収束するはずで、それを合わせるとDeocoノートになる。要は、もともとみんなラクトンを求めてるんだわ。

しかし、現状、男性がそれを手にとるためにはメンズ用の棚からは選べない。かといって女の子向けをストレートに選ぶのも勇気がいる。結局「JKの匂いだってよwww」ってネタがあって、初めて万人に心地よい系統の香りにアクセスできるのってなんか気の毒な感じだけど、開発担当者にはいいヒントになると思うし、男もかわいい香りが選べる世の中が来るといいよね。

Deocoも香りのラインナップ増えるといいと思う。もうちょっとクールな石鹸系フローラルと、もうちょっとフルーティーでシトラス入ったようなのとか。今の香りはピンクっぽいので、ブルーとイエローの3色ほしい。幼馴染と委員長と部活の後輩というイメージです。(そっちに寄せるとまたどこかから「女子高生を性的に消費してる!」って叱られそうだけど)