咎もなく誉もない日々

そうでない人がそれなりにやっていくブログ

「羽越瓶子行」的な何か

「きらきらうえつ」が廃車になると聞いて、今のうちに乗っておこうということになった。去年の夏に酒田に行った時に寄ったお店「貮番丁」にも、もう一度行きたかったし。
http://www.jrniigata.co.jp/train/kirakirauetsu/www.jrniigata.co.jp

ちょうど出張の予定があったので金曜の夜に東京から新潟に向かい、土曜の朝に出発、酒田で一泊して、帰りは同じく特別列車の「風っこストーブ日本海号」で新潟まで戻ってくる旅程にした。

「とき」は指定席少ないのでわりと早めに取らないと真ん中の席しかない。金曜の夜だからなおさらかも。さりとて並んで自由席に乗るのも気が進まず、思い切ってグリーン車乗った。のぞみのグリーン車は座席が大きすぎてしんどいけど、ときのグリーン車はジャストフィットするのですごく良い。次からグリーン乗りたい。道中の弁当は大船軒の「酒肴弁当」にした。これはビールにすごく合う。量は少なめだけど、駅弁の良さが凝縮されてると思う。

わりといい気分で合流して「ご飯は食べてきたよー」って気持ちだったけど、家で連れが鍋はじめたので結局鍋食べた。1日4食ぐらい食べてる勘定になってヤバい。せんべい汁はおいしい。

そして翌朝。新潟駅まで車で向かい、きらきらうえつに乗った。遠目にはきらきら感ある塗装のせいでわからなかったけど、近くによると古き良き特急列車の作りで匂いも音も懐かしい。私は鉄オタ家族に育ったので、小さい頃の家族旅行といえばわけもなく妙な列車に乗せられた記憶しかない。そういうのを思い出した。当時はそれが辛かったけども、今はわざわざ乗りに行ってるわけでおかしな話だと思う。

新潟限定ビイルの「風味爽快ニシテ」とおつまみを片手に乗車し、出発した。

ところが、2駅すぎたあたりで止まってしまった。なにやら電気系統の不調らしく、ビールも飲みきりやることがないので売店で缶チューハイ買ったり、塗り絵(お子様用に備え付けられている)を塗ったりしてたけど、結局40分ぐらい停まってた。ようやく動いたけどまた止まり、結局「中条駅で運行中止、バスで代行運転」ってアナウンスが。

中条って、村上より手前なので新潟出れてないやん…。きらきら失敗、しょんぼりうえつ。

まあ私はバスも好きだけど、バスのルートっていつもの東北方面にドライブするルートなのでさすがに新鮮さがなさすぎ。鉄道好きな人はその後のいなほに乗ったり(指定席は埋まっているということで非推奨)新潟に戻ったりしたようですが、我々は酒田に泊まるミッションもあるので素直に代行バスに乗りました。

酒田についたら、もう暗くなりかけの時間で、宿まで2kmぐらい歩くうちに完全に真っ暗に。チェックインした時点で我々はほとんど何も食べてない状態なので、とにかく何か食べようと街に向かった。

目的地の貮番丁さんに直行してもよかったけど、気分的にはラーメンとか食べたくて、歩いてて適当に見つけた「川柳」さんでラーメン。

川柳
〒998-0044 山形県酒田市中町2-6-9
650円(平均)

ここは、もともとそばとうどんをやってた店らしいけど、ラーメンに力を入れるようになって今はそばやってないです。あっさり魚介スープに薄いワンタンの入った正統派の酒田ラーメンがおいしかった。連れはマーボーラーメン食べてました。

ひととおりお腹が満たされた状態で貮番丁さんに。

貮番丁
〒998-0045 山形県酒田市二番町3-22
2,500円(平均)

酒田名物ハタハタの田楽が絶品だった。卵を持ってるハタハタは旨味が落ちる分を田楽で補うということだけど、十分旨味が乗ってプリプリだったし、思ったより大粒の卵がプチプチして楽しい。
https://www.instagram.com/p/Bq1vp5-gFK3/
お酒は、麓井の生酛がよかった。

このお店を見つけたのも、去年の夏酒田に来た時に、思いのほか街に誰もいなくて大丈夫かとおもったら、このお店からすごい良い出汁の匂いがしてて「大丈夫、ちゃんとした料理屋がある」って心強くなった(で、夜に飲みに行き場がなくなって閉店間際のこのお店にお世話になった)というきっかけ。ほんとおいしいしお値段も手頃、腕にプライド持ってやってる感じが伝わるけども気取らず良いお店です。気風のいいマスターの話も面白い。

で、翌日の観光のおすすめを聞いたりした。土門拳記念館の中庭のノグチイサムが作った「土門さん」って彫刻が完全に男根のメタファだとか酒田市美術館の庭は最高だけどコーヒーがすごいまずいとか、そういう話がおもしろかったので今回は飯盛山公園近辺に言ってみようということになった。

で、もうちょっと飲みたいという気持ちで街をウロウロしてたら地酒バーがあったので突入。
https://jizakebarsuduki.com/jizakebarsuduki.com
地元の地酒にこだわった品揃えで、ちょい飲みするには最適。お会計も良心的でした。同じ蔵元さんのバージョン違いが揃ってて飲み比べが楽しい。まだ開店して間もないみたいで綺麗な店内、女性のお客さんが多かった。

酒田、屋台村的な飲み屋街がリニューアルして満席だったりして、前回に来た時より街に賑わいがある気がする。
https://www.kitamae-yokochou.com/www.kitamae-yokochou.com
ここでも「グリーン・ハウス」のことが言及されてたりで、酒田の人の街に対する誇りの源泉みたいな感じなのかなって思った。商都らしいプライドの持ち方だと思う。

宿に泊まって、翌日は土門拳記念館見て中庭の「土門さん」を見た。屹立してた。酒田市美術館はちょうど展示物の入れ替えで入れなかった。残念。で、そこから帰りの電車まで微妙に時間あってお昼どうしようって言ってる間に本気で微妙な時間になった。

前回にも引っかかった罠だけど、酒田は駅前にコンビニとかファストフードとかはない。結局土産物屋のイートインでいかのつくね食べて、キオスク(駅弁はない)でおにぎりと菓子パン買って風っ子ストーブ号に乗った。今おもえば、計画的にホテルイン酒田(旧東急イン酒田)のル・ポットフーでランチでも食べておくべきだった。

帰りの羽越線は特にトラブルもなく、予定通り帰ってこれた。このありがたさよ。
https://www.instagram.com/p/Bq4D-pOAg4K/
笹川流れのビューポイントでは長く停車する。

ここは、最初に2人ででかけた時に立ち寄った夕日会館のあるところで、当時は付き合ってはなかったけど、今思うと彼なりに気を使ってくれてたんだなって思う。本来、国道七号線でショートカットするところ、眺めの良いルートを通ってくれたのだった。

また酒田行きたいし、次は美術館でまずいコーヒー飲んで、ル・ポットフーでフレンチ食べたい。駅前も再開発される予定で、コンビニも入るらしい。

ところで、この季節に夕暮れの酒田を歩くと、子犬を殴ったようなギャンギャン言う声が聞こえて何なのかと思うと、白鳥が鳴いているのであった。白鳥の歌、犬の断末魔みたいで見た目と声とのギャップがひどい。