これは、つくりおきアドベントカレンダー9日目の記事です(遅延しました)
adventar.org
私は関西のおばちゃんなので、つくりおき常備菜は得てして「何かの炊いたん」になりがちです。
で、この「炊いたん」ですが、案外、定義が難しい。定義も難しいし、炊いたん文化圏外の人は発音も間違えがちです。「たいたん↗→→↘」ではなく「たいたん ↗↘→→」です。土星の衛星のタイタンと同じように発音するのが正解。
- 作者: カートヴォネガットジュニア
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2013/03/29
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログ (5件) を見る
さて「炊いたん」の概念に一番近いのは「煮物」です。ただ「煮物」にはレシピが存在しますが「炊いたん」にレシピはありません。「炊いたん」は、だいたいこういうプロセスで完成します。
- いい感じの食材をみつくろう(だいたい2種までが「炊いたん」というイメージ)
- いい感じに切る
- いい感じの煮汁を作り、食材をいい感じに入れて煮る
- いい感じになったら出来上がり
冷蔵庫の中にある残り物、八百屋や魚屋でつい目があった旬の食材、スーパーで投げ売りになってる特売品、そういう変数を組み合わせると、炊いたん星人の脳内コンピューターは最適な調理方法を導き出し、使い込んだ鍋に煮汁が発生し、最適に切られた食材が投入され、なんとなく完成する、そういう仕組みになっています。
たぶん「炊いたん」は、ご家庭の名も無き料理を呼ぶ呼称であり、狙って作るようなものではないのです。青菜とお揚げ、茄子と牛肉、そういう定番の組み合わせは間違いなくおいしいけど、ちょっと目先の変わったものを組み合わせるセンスがあると人生の喜びが増えます。
あと「炊いたん」の味付けですが、大まかに言うと、炊いたんのだしには薄いのと濃いのがあり、創味のつゆの薄いやつと濃いやつを使えばだいたいそれらしくなります。この手の既製のつゆを嫌う向きもあるかと思いますが、味というかだいたいの雰囲気を既製だしで覚えて、そこから自分でだしを取るという手順でやるのがいいんじゃないかなあと思います。
人は、幼少期からの味覚の蓄積、成人してからの飲み歩き、自炊の積み重ねなど、さまざまな場所で炊いたんセンサーを繊細にしていくことにより、炊いたん星人になっていきます。特に京都の安居酒屋は「炊いたん」の宝庫なので、飲めば飲むほど立派な炊いたん星人に近づくことができる。とりあえず飲みに行きましょう。